この度、tata bookshop/gallery にて「Where Do Honey Bees Go?」展を開催いたします。
うたを歌うように、じぐざぐダンスを踊るようにして、仲間たちとコミュニケーションをとりながら、花から花へと移動し花粉を運ぶ蜜蜂は、豊かな生態系を支える要。その存在がなければ、農作物や植物たちは果実を実らせ、種を落として次の命をつなぐことができません。
彼らがつくりだす蜂蜜は薬として、抗菌力や保湿性が高い蜜蝋は火傷や傷の治療に用いられてきたほか、日々の暮らしに灯をともす蝋燭など、何千年もの間、私たちの生活におおくの恵をあたえてくれています。しかし、急激な気候変動と環境変化、農薬や品種改良など人の手の介入ほかさまざまな理由から彼らの活動が阻害され、生態系の均衡が危機に瀕しているのも事実です。
本展では、彼らの魅力的な習性から着想を得たGleicheniaのジュエリーコレクションと、Kanako Ikegayaのコラージュ作品から構成されるインスタレーションを発表いたします。
Gleichenia は、ゆっくりと滴るやわらかな蜂蜜を掬いあげるような有機的なシルエットをモチーフにしたガラスとシルバーからなるペンダントや、まるで点描するようにリズミカルで楽しげな動きを観察することから生まれたブローチやピアスなど、異素材のゆるやかな繋がりを特徴とした新作『BEE 』シリーズを発表いたします。
Kanako Ikegayaのコラージュ作品は、言葉によらぬコミュニケーションとして連綿とつづく動きの痕跡や、花粉を媒介するために、空間を変容させながらあらたな事象を紡いでいく蜜蜂の習性に惹かれることから生まれました。ガラスや黒鉛、陶器をはじめとした多様な素材が隣り合うそれぞれの差異を隔てることなく構成されています。
さまざまな命やいとなみのメディウムとして、姿や形を変えて広がる蜜蜂の多様な関係性に焦点をあて、コラージュ作品やみずみずしい花々や実りをモチーフとしたジュエリーが響き合う空間をつくり出すことで、目に見えぬつながりの豊かさに想いをめぐらせる機会となればと思います。
是非ご高覧ください。