THAW Brooch
銀箔が映す、雪解けの光
冬の終わり、固く閉ざされていた雪の表面がゆるやかに緩み始める。太陽の光を浴びた雪は、無数の小さなレンズを散りばめたかのように輝きを放ちます。「THAW(ソウ)」は、英語で「雪解け」を意味する言葉。凍てついた冬から春へと移り変わる、静かで力強い瞬間を銀箔七宝で捉えたシリーズです。
銀箔七宝が生む、雪景色のきらめき
銅板の上に薄い銀箔を貼り、その上にガラス質の釉薬を焼き付ける。一般的な七宝が金属の色をそのまま見せるのに対し、銀箔七宝では下地の銀箔が釉薬を通して柔らかく反射します。透明と乳白の釉薬を組み合わせることで、この反射に微妙な濃淡を与えました。角度を変えるたびに移ろう表情は、雪解けの水滴が光を含んで転がる、あの一瞬の美しさをイメージしています。
色の調合から焼成まで、全ての工程を東京のアトリエで手仕事により一点ずつ制作しています。同じ釉薬を使っても、焼き上がりはひとつとして同じにならない。それもまた、雪解けの表情が毎年少しずつ違うことに似ています。
大小の円が連なる、しずくのリズム
大小さまざまな円が寄り添うように連なるフォルム。溶けた雪が一滴、また一滴と滴り落ち、互いに引き合いやがて小さな流れをつくる——そのリズムをブローチの輪郭に写し取りました。ひとつでさらりと、2つ、3つと重ね付けも。さまざまなコーディネートをお楽しみいただける七宝のピンブローチです。