この度Gleicheniaは、東京都渋谷区にあるGallery 10 [TOH] にて作家のKatagiriさんとの展覧会を開催いたします。
今まで何気なく使っていたポジティブ/良いこと、ネガティブ/悪いこと、という2つの言葉が、コロナウィルスの陰性・陽性によってその意味が翻ることがありました。このことがきっかけとなり、表裏するふたつの現象は、境界を隔てずに反転しうるものであることをより一層意識するようになりました。
"Negative and Positive Rules"と題された本展は、多様な手法を用いながら、表現の幅を広げているKatagiriとGleicheniaの作品によって構成された展示です。
彫刻作品の型取りにおいて、最も重要でありながら目にふれることはないモールドを支持体としたKatagiriの彫刻作品"Concave"シリーズをはじめ、シルエットや痕跡をテーマにしたマルチブロック手法による作品の数々は、物事の機微を捉えることの大切さを想起させます。またGleichenia は、文字を綴ることで生まれた余白から着想を得たピンブローチ”OFFLINE” など木材や水晶、ガラスを用いた表現と技巧で、普段ならば省略されてしまう事象やディテールに焦点をあてたジュエリー作品を発表します。
ひっそりと存在しているものがもつ表情を、ゆっくりと丁寧に掬いあげる。ポジティブとネガティブ、凹と凸、+と−。どちらか一方の価値観に支配されることなく、その境目が溶け合うようにして変容しつづけることの魅力へと考えを巡らせる機会となれればと思います。